キーワードは「ワクチン接種」警備の仕事の今後はどうなる?
2021年10月2日
コロナ禍の状態が続く中、全国ではワクチン接種も少しずつ進んでいます。これにより、感染リスクは減少したとしても、他のスタッフや一般の方に感染させてしまう可能性は未だ否めません。今回は、「ワクチン接種」をキーワードに今後の警備スタッフの仕事はどうなるのか、その動向を探っていきます。
■コロナ禍で人員が減少した業種とは
ウイルス感染が蔓延する社会情勢にあって、外出する人が大幅に減少したことによる各業種の人員削減は避けられない事態となっています。その結果、人件費削減のためにホテル業やカラオケやパチンコなどの各種サービス業、飲食業などで人員の減少が起き、業務に支障をきたしているのです。
■エッセンシャルワーカーの1つである警備業
多くの業種が人員削減を行う中、エッセンシャルワーカーと呼ばれる業種は変わらずに人員を稼働させていることが多いです。エッセンシャル(essential)とは、英語で「必要不可欠」という意味合いであり、エッセンシャルワーカーとは、社会に必要である仕事に就く人を指します。
エッセンシャルワーカーには、以下のような業種があげられます。
・医療従事者
医者や看護師などの仕事は、ウイルスに感染してしまった人への処置を行う存在として欠かせないものです。また、その他の病気やケガも社会情勢に関わらず起こるものであるため、医療従事者の業務を制限することは困難です。
・福祉関係スタッフ
老人や障害者をサポートする介護職は、介護を必要とする人がいる限り需要が減ることはありません。そのため、医療従事者と同様に社会情勢にかかわらず必要とされており、人員削減を行うことは難しいです。
・生活必需品の小売り店員
食料や日用品など、私たちの生活に欠かせない必需品は、いつでも販売されている状況でなければ生活に支障をきたします。そのため、生活必需品を扱う小売り店のスタッフも、通常通り業務に従事しています。また、マスクや消毒液等の衛生用品を扱うドラッグストアの需要は高まる一方であり、特に重要視されています。
・警備スタッフ
警備業は、車両や人の交通や工事、施設の営業が続く限りは必須の業種です。そのため、警備スタッフの需要も衰えることなく、緊急事態宣言下にあっても人々の安全を守るために業務に従事しています。実際に警備業においては、コロナ禍により人手不足率が上昇しており、より多くの人材が求められているのが現状です。
このように、警備業はエッセンシャルワーカーの一種であり、緊急事態宣言下にあっても、変わらず人員確保が求められています。しかし、感染リスクが高い仕事であるだけに、警備業務に就く人が減少する可能性も否めません。
■エッセンシャルワーカーだからこそワクチン接種を優先すべき?
エッセンシャルワーカーに対しては、一部の都道府県や行政によりワクチン接種が優先されている場合もありますが、その流れは特に広まっているわけではありません。残念なことに現状では、職務に対する意識の高いエッセンシャルワーカーが中心となり、できるだけ早くワクチン接種を受けるよう努力している、に過ぎません。これは警備スタッフも同様で、警備業に従事する人でも、すでにワクチン接種を終了させている方は少ないかもしれません。
このように、警備業をはじめとするエッセンシャルワーカーは率先して感染対策を取るべき、ではありますが、ワクチン接種を求めている方はエッセンシャルワーカーだけでなく数多いため、従事する方の職業意識に頼らざるを得ないのが現状でしょう。
■ワクチン接種を促す動き
警備業において、スタッフのワクチン接種を促進させるような対応にはどんなものがあるのでしょうか?
・ワクチン接種後の副反応に対する対応
接種後に起こる場合があるワクチンの副反応には、腕の痛みのほかに頭痛や発熱、アレルギー症状などがあげられます。このような体調不良が起こった場合、もちろんですが業務にあたることは難しくなるでしょう。スタッフの体を守るために適切な施策を取ることも、警備会社に課された使命ですので、もしあなたがワクチン接種後に体調を崩してしまったのなら、遠慮せずに警備会社に状況を説明しましょう。
・緊急事態宣言が継続されている場合
今後、まだ緊急事態宣言が継続して発令されている場合、警備会社では「ワクチン接種を終えた警備スタッフ」から優先的に現場に招集することが予想されます。
ワクチン接種後の警備スタッフは、より安定してシフトに入れるようになることもあり、まだ未接種のスタッフにとっては「早く安定して業務に就けるようになりたい」との思いから、積極的にワクチン接種する流れになる可能性もあります。
・緊急事態宣言が解除された場合
緊急事態宣言が解除される前から、グリーン警備でも「道路工事や建物の建設や都市開発計画など」に関わる業務を行っていましたが、今後はさらにその規模が拡大されていくと予想されます。このような現場では、交通誘導や雑踏管理の警備スタッフの存在が必須です。
しかし、例え緊急事態宣言が解除されていたとしても、感染リスクがなくなったわけではありません。
むしろ、警備が必要な現場が増加することにより、警備スタッフはより多くの人員を必要とし、さらに仕事は増えていくため、宣言継続時と同様に、積極的にワクチン接種を行う流れとなっていくのではないでしょうか?
■ワクチン接種後にも注意したいこと
ワクチン接種が終了したといっても、警備スタッフ自身の感染率が低下しただけで、周囲への感染リスクはまだ軽減したわけではありません。ここでは、警備スタッフがワクチンを接種した後でも注意すべき点をあげていきます。
・通常通りの感染対策をする
警備スタッフに対して、全国警備業協会から感染対策のガイドラインが発表されています。マスクの正しい着脱方法や流水での手洗い、アルコールでの手指消毒はこれまで通りに行ってください。また、出勤時にはできるだけ自転車やバイク、徒歩を選ぶようにし、どうしても公共交通機関を使用する場合は、マスクの着用が必須です。
その他、休憩室や仮眠室の使用では、最低1m以上のソーシャルディスタンスを十分に取り、換気を十分に行う、仮眠に使用する寝具の共用は避けるといった対策も徹底しましょう。
・体の免疫力を上げる
ワクチン接種の効果をさらに向上させるために、よりウイルスに強い体にすることも大切です。空き時間や休日にウォーキングをしたり、家の中でストレッチをしたりするだけでも、体の免疫力がアップしてウイルスを退けられる可能性があります。
また、警備業では夜勤と日勤とを交代することも多く、生活が不規則になりがちです。そのような状態の中でも、できるだけ決まった時間に栄養バランスの取れた食事を摂る、お酒やたばこを控えるなど生活習慣にも気を遣い、免疫力を維持するようにしましょう。
・2号警備における注意点
グリーン警備で主に請け負っている2号警備(交通誘導・雑踏管理)においては、特に多数の人と接触する機会が多いほか、誘導灯やトランシーバーなど他のスタッフと共用する備品も多いです。そのため、マスクや手袋着用はもちろんのこと、備品は使用するごとにきちんと消毒します。
マスクを着けていて声が通らず、人々をうまく誘導できない場合、拡声器を使って呼びかけるなどの施策も有効です。このときも、拡声器の消毒は忘れずに行うようにしましょう。
警備業は、コロナ禍にあっても稼働することが求められる重要な仕事です。そのために、ワクチン接種を優先的に受けられますが、接種後も感染対策は十分に行わなければなりません。これは、自分の感染率が下がったとしても、自分以外へ感染させないようにするためです。
ワクチン接種後は、スタッフの安全性を確認したうえでさらに多くの現場に向かうことも多くなるでしょう。そのために、ワクチン接種後にもできる対策をきちんと行いましょう。