グリーン警備のお仕事はどうなっていく?「緊急事態宣言全面解除」以降の状況とは?
2021年11月2日
新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、先日まで各地で緊急事態宣言が発令されていましたが、10月に宣言が全面解除され、徐々にではありますが社会は従来の動きを取り戻しつつあります。このような社会情勢の変化によって、警備業界にも少なからず影響が出ると考えられています。
今回は、緊急事態宣言解除後におけるグリーン警備でのお仕事状況について考えていきます。
■2021年のコロナ禍の動向
新型コロナウイルスの2021年における感染状況は、8月に第5波を迎え爆発的に感染者が増加しました。しかし、その後9月に入ってからは急速に感染者が減少している傾向にあります。感染者減少の理由にはさまざまに論じられていますが、主には以下の要因があるのではないかと考えられています。
・ワクチンの普及
「国立感染研究所の調べでは、2021年9月現在において新型コロナワクチンの2回接種を終了している人は、およそ50%程度とのデータが出ています。」(国立感染症研究所 2021.HPより)ワクチン接種に関しては、高齢者や職域を限定した接種が優先的に行われており、これらの人々におけるワクチン接種率はおのずと高くなっています。
ちなみに、職域接種は生活に必要である社会基盤に関わる職種の人々(エッセンシャルワーカー)を対象としたものであり、ここには警備業に従事する人も含まれています。
・緊急事態宣言の影響
これまで、数回にわたり緊急事態宣言が発令され、2021年8月時点のものは4回目の発令にあたります。その中で、過去よりもコロナ禍での生活の変化に順応した人が多いことや、感染者の急激な増加および医療現場の深刻な逼迫状況を目にし、行動パターンの変化が起こったことが感染減少傾向の要因の1つとする説もあります。
このように、緊急事態宣言が再三発令されることにより、人々の意識が変わって収束に向けて動き出したと考えられ、今後はコロナ禍の収束も見込めるという見方もあります。ただし、緊急事態宣言が解除された後でも、さらなる感染の波が訪れる可能性があることは念頭に置かなければなりません。
■交通誘導警備の需要が減らなかった理由とは
コロナ禍においては、売上減や休業に追い込まれる業種はとても多く、実際に会社の倒産や廃業などの例を多く見かけました。しかし、グリーン警備を始めとする警備業界は、ほぼ変わらず仕事を受注できており、スタッフへの影響も最小限で済んでいます。その理由は、主に以下のようなものです。
・道路工事や各種建築工事はあまり減少しない
コロナ禍にあっても、道路工事や住宅の新築などに関しては需要が引き続きあり、工事現場の稼働はあまり減少していません。そのため、グリーン警備がメインとしている交通誘導警備も必須となり、仕事はほぼ継続的に依頼されています。
・ライフライン工事はコロナ禍でも生活に必須である
水道やガス、電気工事のように生活に直結するライフライン工事は、人々が生活している以上は途切れることはありません。むしろ、自宅で過ごす時間が多くなれば、ライフラインの保全は必須です。このような工事現場でも交通誘導警備も必要であり、グリーン警備でもライフライン工事の現場に向かうことが多いです。
■緊急事態宣言解除後の動向は?
警備業界において、緊急事態宣言解除後はどのような動向をたどるのでしょうか。また、その動向によりグリーン警備での業務はどのように変化するかも含めて考えていきます。
・さらに需要が増加する可能性あり
道路工事やライフライン工事などは引き続き需要がありましたが、中には緊急事態宣言を受け一時中止していた工事も存在します。たとえば、人々の喫緊の生活に直接関与しない都市開発などの公共工事においては、自治体の方針によりいったん中止としている例も少なくありません。
緊急事態宣言解除にともない、これらの工事も再開される可能性が高いため、交通誘導警備の必要性はさらに高まり、警備業界への需要は増加すると予想されます。
・コロナ禍の収束傾向に反して講習や研修の中止は継続
警備業務においては、スキルや知識を高め後続の指導にあたるため、警備員指導教育責任者講習などの各種講習や研修が随時行われています。しかし、緊急事態宣言解除のめどが立たない状況にあっては、少し先に日程が組まれていても中止の判断に至ることは少なくありません。そのため、緊急事態宣言が解除された後も、事前に中止が決定された講習や研修はそのまま行われない可能性が高いでしょう。
ただし、今年の年末から来年初旬くらいまで先の期間であれば、予定通り実施されることもあるほか、中止の振替えとして日程が新たに組まれていることもあるため、各種講習や研修を受ける予定のある人は、日程についてよく確認しておくことをおすすめします。
■緊急事態宣言解除後に注意すること
緊急事態宣言解除の後にも、引き続き注意すべきポイントがあります。
・ワクチン接種後にも感染対策はきちんと行うこと
警備業務にあたるスタッフは、グリーン警備でもワクチン接種を進めていますが、100%感染しなくなったわけではありません。そのため、従来と同様に感染対策はしっかり行うべきです。手洗いや消毒の励行やマスクの着用は基本であるほか、休日にむやみに人通りの多い場所に出かけないなどの配慮も必要でしょう。
また、自分が感染しづらくなったとはいえ、ウイルスへの抗体が体内にできているだけであり、体内で保菌する可能性はいまだ残っています。そのため、他人にウイルスを感染させることのないよう、やはり感染対策は怠るべきではありません。
・施設やイベントでの交通誘導増加に備えること
緊急事態宣言が解除された後には、これまで自粛されていた施設の営業やイベント開催が通常通りに戻ることが予想されます。これにより、緊急事態宣言発令前よりも雑踏警備や駐車場での車両誘導といった業務が増えることが考えられます。グリーン警備でも、こうした業務の増加には備えておりますが、いつ従来の仕事が戻ってきてもよいように、心構えと準備をしておきましょう。
・インフルエンザ感染対策をきちんと取ること
昨年の冬シーズンは、新型コロナウイルスの感染予防意識の高まりにより、結果的にインフルエンザの流行も抑えられたといわれています。しかし今年、緊急事態宣言が解除された後には、人々の感染対策や行動に緩みが出ること、また昨年に流行しなかった分インフルエンザ抗体の効力が減少しているなどの理由で、インフルエンザが流行するという見解があります。
さらに、新型コロナワクチンの生産に伴い、インフルエンザワクチンの供給が減少している例もあるようです。これらの理由から、インフルエンザ感染にも十分な対策が必要です。感染対策は、従来通り手洗いうがい、規則正しい生活のほか、体を冷やさず免疫力を上げることが大切です。
今回の緊急事態宣言解除により、これまでも仕事の減少が最小限であった警備業界においては若干仕事量が増えることが予想されます。もちろん、グリーン警備もその例に漏れず、スタッフがシフトに入れずに困るといった事態もほとんどなくなると考えられます。
ただし、ワクチン接種が終了しているとはいえ、感染のリスクはゼロではなく、気を緩めると体調を崩す可能性もあり、インフルエンザ感染にも注意する必要があります。継続的に業務を行うためにも、感染対策や体調管理はしっかり行うようにしましょう。