【答え合わせ】「東京オリンピック延期」と警備業の関係とは?
2020年8月7日

──五輪が警備業界にもたらした影響と“その後”
2020年に開催予定だった東京オリンピックは、世界的な情勢を受けて2021年へ延期されました。
この出来事は、開催準備が進んでいた建築業界や観光業界だけでなく、警備業界にも少なからず影響を与えています。
当初、東京オリンピックでは民間警備員だけでも約14,000人規模が動員される予定であり、
警察やボランティアも含めると、国内でも前例のない大規模な警備体制が想定されていました。
では、東京オリンピックが延期されたことで、
警備業界は本当に「厳しい状況」になったのでしょうか?
本記事では、
- 東京オリンピック延期が警備業界に与えた影響
- 延期後も進み続けた建設・警備需要
- 東京オリンピック終了後も続く警備の仕事
について、当社の視点から分かりやすく解説します。
これから警備の仕事を検討している方にとっても、「一時的な出来事」と「長期的な業界動向」を整理する材料になるはずです。
■ 東京オリンピック延期で打撃を受けた警備会社は少なくない
東京オリンピックの延期が決定した当初、警備業界では大きな戸惑いが広がりました。
というのも、オリンピック対応を見据えて 人員配置やスケジュール調整を進めていた警備会社 が多く、
一部では他の業務を抑えて五輪対応を優先する計画を立てていたケースもあったからです。
仮に、
- 五輪期間に合わせて人員を確保
- 他の現場を縮小・調整
といった体制を取っていた場合、延期によって スケジュールが空白になるリスク が生じたことは否定できません。
また、東京オリンピック開催を見込んで計画されていた各地の大規模イベントや関連行事が見送られたことで、
一時的に警備需要が落ち込んだ地域もありました。
しかし一方で、
警備業界全体が長期的に仕事を失ったわけではない
という点も、ここで整理しておく必要があります。
※補足データ
東京2020大会では、民間警備員約14,000人の動員が計画されていました。
出典:内閣官房「東京 2020 大会の安全・安心の確保のための対処要領 (更新版)」
この「一時的な空白」のあと、警備の仕事はどのように推移していったのでしょうか?
■ 東京オリンピック延期後も建設工事は止まらなかった
東京オリンピックは延期となりましたが、「中止」ではなく「延期」であったことが、警備業界にとって大きなポイントでした。
実際に、2021年の開催に向けて各種施設の建設やインフラ整備は、自粛期間を経ながらも継続して進められていきました。
・商業施設や宿泊施設の建設は継続
東京オリンピックを見据え、国内外からの来場者を受け入れるための 大型商業施設や宿泊施設の建設・改修 は、延期決定後も各地で進められていました。
オリンピック開催時だけでなく、その後の観光需要や都市機能の向上を見越した投資であるため、計画自体が白紙になるケースは多くありませんでした。
結果として、これらの建設現場では 交通誘導警備や現場周辺の安全確保 が引き続き必要となり、警備員の配置も継続して求められていたのです。
・公共交通機関・道路などインフラ整備も進行
東京オリンピックを契機として進められていた
- 鉄道関連工事
- 高速道路・一般道の整備
- 駅周辺の再整備
といった交通インフラ工事も、延期によって完全に止まることはありませんでした。
むしろ、「開催までの準備期間が延びた」ことで、より計画的に工事が進められた側面もあります。
これらの現場では、人や車両の出入りが多く、警備員による交通誘導や安全管理が不可欠となります。
・マンション・住宅建設も継続的に発生
東京オリンピック会場周辺では、大会関係者やその後の居住需要を見込んだマンション・住宅建設 も数多く進められてきました。
延期が決まったからといって、これらの住宅建設がすべて中止になるわけではなく、都市開発の一環として現在も継続しているケースがほとんどです。
・建設現場に欠かせない警備の役割
こうした建設工事の現場では、作業員の安全確保だけでなく、周辺を通行する歩行者や車両への配慮も欠かせません。
グリーン警備が担う交通誘導警備は、工事を円滑に進めるための 縁の下の力持ち として、これらの現場で重要な役割を果たしています。
※補足データ
公共工事や都市インフラ整備は、五輪後も中長期的に継続する傾向があるとされています。
このように、東京オリンピック延期後も建設需要は底堅く推移し、それに伴って 警備業務の必要性も継続していた ことが分かります。
■各種イベントや観光需要に向けて警備の業務は増加

東京オリンピックに向けては、競技そのものだけでなく、
関連イベントや周辺エリアでの催しが数多く予定されていました。
延期によって2020年は開催を見送るケースが相次ぎましたが、
その反動もあり、2021年以降に向けてイベント需要は再び動き出す ことになります。
・インバウンド受け入れと警備体制の重要性
東京オリンピックは、海外からの観光客を多く迎える国際的なイベントです。
競技観戦だけでなく、観光地や商業施設、宿泊施設への来訪も見込まれていました。
こうしたインバウンド需要に対応するためには、
- 施設内外の安全確保
- 人の流れをスムーズにする誘導
- トラブル防止のための警戒
といった警備体制が欠かせません。
グリーン警備でも、観光地や主要施設での警備業務を想定し、さまざまな現場に対応できる準備を進めてきました。
・飲食業界・商業エリア周辺での警備
東京オリンピック開催を見据え、飲食店や商業施設の新規出店、リニューアルも各地で進められていました。
来店客が増加すれば、
- 駐車場での交通誘導
- 店舗周辺での安全管理
といった警備の役割も重要になります。
2020年は一時的に落ち込んだものの、需要そのものが消えたわけではなく、時期がずれただけという点は警備業界にとっても大きなポイントです。
・テーマパークや観光地での雑踏警備
東京オリンピックをきっかけに、競技観戦の前後でテーマパークや観光地を訪れる人が増えることも予想されていました。
こうした場所では、人が集中しやすく、
事故やトラブルを未然に防ぐための 雑踏警備・誘導業務 が求められます。
多くの人が集まる現場ほど、
警備員の存在が安全確保の要となるのです。
・関連イベントで求められる警備員の役割
東京オリンピック本番以外にも、
- パブリックビューイング
- スポンサーイベント
- 地域主催の関連催し
など、さまざまな関連イベントが開催される可能性がありました。
これらのイベントは単発であっても規模が大きく、事前の計画と当日の現場対応が重要になります。
その中で、警備員は会場全体の安全を支える存在として重宝されるのです。
■東京オリンピック終了後も建設需要は続いていく

東京オリンピックは2021年に開催されましたが、警備業界にとって重要なのは「オリンピックが終わった後」です。
一時的なイベントが終了すると、仕事が一気に減るのではないかと不安に感じる方もいるかもしれません。
しかし実際には、東京オリンピック終了後も建設需要は下がりにくい と考えられていました。
・大阪万博やリニア新幹線など大型プロジェクトが控えている
東京オリンピックの後には、2025年の大阪・関西万博が予定されていました。
(こちらが無事開催されたことを知っている方も多いことでしょう)
万博開催に向けては、
- 商業施設
- 宿泊施設
- 会場周辺の再開発
などが進められており、東京オリンピックと同様に建設工事と警備需要の増加 が見込まれています。
また、2027年にはリニア中央新幹線の開業が予定されており、
トンネル工事や高架工事、関連施設の整備が現在も各地で進行しています。
これらの工事現場では、作業員や周辺住民の安全を確保するため、
交通誘導警備をはじめとする警備業務が不可欠です。
※補足データ
大阪・関西万博では会場整備や周辺インフラ整備が進められていると公表されています。
出典:経済産業省「2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)」
・IT・通信インフラ整備も警備需要を支える要因に
東京オリンピックを契機に、
IT・通信インフラの整備や設備増設も進められてきました。
大会終了後も、インバウンド対応や都市機能の高度化を目的として、
- 通信設備の増設
- データセンター関連工事
- 電波設備の整備
などが継続的に行われています。
これらの工事現場においても、人や車の出入りを管理する警備員の役割は欠かせません。
・警備業界は「一過性」ではなく「継続型の仕事」
東京オリンピックは確かに大きな節目でしたが、警備の仕事は オリンピックの有無に左右されるものではありません。
都市開発、再開発、インフラ整備が続く限り、警備業務は今後も一定の需要が見込まれます。
そのため、東京オリンピック延期や終了を理由に警備業界全体が縮小していく可能性は低いと考えられていましたし、実際そうなっていますよね?
■ Q&A|東京オリンピックと警備業についてよくある質問
ここでは、東京オリンピック延期・開催を経て、警備の仕事を検討している方からよく聞かれる疑問をまとめました。
Q1. 東京オリンピックが終わって、警備の仕事は減りましたか?
A.一時的に落ち着いた現場はありますが、仕事自体が大きく減ったわけではありません。
オリンピック関連の警備が終了した一方で、建設工事・再開発・施設警備などの需要は継続しており、警備員が必要とされる現場は現在も各地にあります。
Q2. オリンピック延期は警備会社にとってマイナスだったのでしょうか?
A.短期的には影響を受けた会社もあります。
ただし「中止」ではなく「延期」だったことで、建設工事やインフラ整備が止まらず、結果的に警備需要が完全に失われることはありませんでした。
Q3. 東京オリンピック後も警備業界の将来性はありましたか?
A.将来性は十分にあったといえますし、実際そうなりました。
2025年の大阪・関西万博をはじめ、都市再開発、交通インフラ整備など、大型プロジェクトが控えており、警備の仕事は今後も必要とされます。
Q4. オリンピック関連の経験がなくても警備の仕事はできますか?
A.問題ありません。
多くの警備業務は、交通誘導や施設警備など日常的な現場が中心です。グリーン警備でも未経験からスタートしたスタッフが多数活躍しています。
Q5. 今から警備の仕事を始めるのは遅くありませんか?
A.決して遅くはありません。
警備業界は慢性的な人材不足が続いており、需要がある今だからこそ、スタートしやすい時期ともいえます。
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東京オリンピックと警備業の関係をより深く知っておきたい方は、以下の記事もあわせてチェックしてみてください。
📌 今、警備の仕事は人材不足なの?
→ 警備業界全体の人手不足の背景と、仕事が安定している理由を解説しています。
📌 警備業務の新常識?個人でできる感染症対策とは
→ 警備現場で求められる安全意識や、日常的な対策について紹介しています。
■ まとめ|東京オリンピック延期は警備業界の「終わり」ではなかった
東京オリンピックの延期によって、警備業界が一時的に影響を受けたことは事実です。
当初予定されていた大規模警備や関連イベントが見送られ、現場によってはスケジュール調整を余儀なくされたケースもありました。
しかし、その一方で 警備の仕事そのものがなくなったわけではありませんでした。
実際には、
- 東京オリンピックに向けた建設工事
- 商業施設や宿泊施設、交通インフラの整備
- 各種イベントや観光需要への対応
といった形で、警備が必要とされる現場は継続して存在してきました。
さらに、東京オリンピック終了後も、大阪・関西万博や都市再開発、インフラ整備など、
さまざまな次の大型プロジェクトが控えており、警備業界全体としての需要は今後も見込まれています。
こうした状況を踏まえると、東京オリンピック延期は警備業界にとって
「一時的な調整期間」であり、長期的に見て仕事が途切れる要因にはなりにくかったといえるでしょう。
警備の仕事を検討している方にとっても、現在は決して不安になるタイミングではありません。
社会に必要とされ続ける仕事だからこそ、今後も安定した活躍の場が用意されていくはずです。
グリーン警備では、これからもさまざまな現場で一緒に働いてくれる仲間を募集しています。
少しでも興味を持った方は、ぜひ警備の仕事にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
【2025年12月追記】

